この記事では、ITパスポートの参考書5冊について、それぞれのおすすめポイントを解説していきます。
ITパスポートは、数ある情報処理技術者試験の中の一つで、国家試験となります。
上の図で分かる通り、ITパスポートは情報系資格の中では初心者レベルに当たります。
ITに関わる全ての社会人・学生を対象としているため、非エンジニアでも縁のある試験です。
合格率は例年50%前後。CBT方式というコンピューター内の問題に答える形式になっており、試験会場に設定された試験日から自分の都合の良い日を選べるのが特徴です。
合格率は比較的高く、受験機会も豊富なので、IT初心者でも受験しやすい資格試験となっています。
ただし、この敷居の低さから「会社や学校で勧められたから受験するけど、本当はデジタル関係が苦手」という受験者も多いのではないでしょうか。
ITパスポート試験は情報技術者試験の中では確かに初心者レベルではありますが、だからといって何も対策をせずに合格できるほど甘い試験でもありません。
ITパスポート試験の難易度を知りたい方は一度、ITパスポート試験の過去問を見てみてください。
www.ipa.go.jp
英数字の略語をはじめとしたIT系の専門用語がバシバシ出てくるので、IT初心者にとっては面食らってしまうこともあるでしょう。
ここで重要なのが、参考書選びです。ITパスポート試験の参考書は、初心者でもわかりやすいよう様々な工夫がされています。ただ、受験者数が多いということもあってか、参考書の種類もかなり多いのです。
ITパスポート試験は初心者が独学で受験しても合格しやすい試験と言えます。IT初心者がITパスポートの参考書選びを間違えてしまうと、「やっぱり自分にIT資格なんて無理!」と挫折の可能性が高くなります。
売れている参考書だから、という理由だけでなく、本当に自分に合う参考書を選ぶことが、ITパスポート合格への道です。
そこで、この記事では数あるITパスポート試験の参考書でもよく名前の上がる5冊について、それぞれのおすすめポイントを紹介することにしました。
各参考書ごとに特徴が違うので、自分に合った一冊を選んでみてくださいね。
いちばんやさしいITパスポート 絶対合格の教科書+出る順問題集
「いちばんやさしいITパスポート 絶対合格の教科書+出る順問題集」は、Amazonでベストセラーを連発しているITパスポート参考書の有名どころです。
タイトル通りの初心者に優しいかみ砕いた解説が魅力の1冊です。
予備校で授業を受けているようなわかりやすい説明と大きめの文字サイズが読みやすく、すいすい進められるでしょう。
レイアウトにもたくさんの工夫が見られます。章の最初にはイメージ図が挿入され、その章で何を学ぶのかがざっくり分かります。重要用語は赤字になっており、「試験にはこれが出る」のまとめコーナーも嬉しいです。
また表題の通り、この参考書は問題集としても使えます。各章の終わりには、かなりの数の確認問題がついているので、インプットした知識がすぐに試せます。巻末の重要用語集もありがたい特典です。
なお、同作者の基本情報技術者試験参考書も発売されています。説明の内容が似ているところがあるため、ITパスポートに合格したら基本情報技術者試験に進みたい人にもおすすめです。
あまり隙の無い参考書ですが、情報量や問題量が豊富な分、勉強慣れしていない人は「読むのが大変だな~」「問題を解くのに時間がかかって大変」と感じてしまうかもしれません。
そのような人は、後述のITパスポート最速合格術やかやのき先生のITパスポート教室の方がおすすめです。
ITパスポート最速合格術
この参考書の特徴は、ずばり「合格までの効率性」。
ITパスポート試験まで2週間を切った時点から勉強を始めたにもかかわらず、1000点満点を獲得したという著者の勉強ノウハウが詰まった参考書です。
参考書の構成もスタンダードな章割りではなく、最初に勉強方法の解説が入ります。
その後ストラテジ、マネジメント、テクノロジの3分野の概要をざっとつかみ、残りは暗記術と計算問題の攻略にあてています。
ITパスポート系の参考書としては比較的薄く、フォントサイズも大きめ。
たこ焼き屋の例えを使い、IT系の用語をかみ砕いて説明しているので難しさを感じません。
過去問も改題されて単純な●×問題(本当は4択問題)になっており、スピーディーな復習が可能です。
・できるだけ短時間で合格レベルの知識を身に付けたい
・分厚すぎる参考書だとやる気がなくなってしまう
・過去問演習に時間をかけたいので参考書は概要をつかむだけでいい
こんな人にはとてもありがたい参考書だと思います。
一方、内容を凝縮している分、解説されていないところや細かい理論が説明されていない部分もあります。
暗記より理論をしっかり理解したい人、今後基本情報技術者試験、応用技術者試験とレベルアップするための基礎固めをしたい人にとってはちょっと物足りないかもしれません。
そのような人には先に紹介した『いちばんやさしい~』や後述の『ITパスポート合格教本』、『キタミ式ITパスポート』の方がおすすめです。
ITパスポート合格教本
要点をポンポンと抑えるよりも、教科書のように順序だててITパスポートの勉強をしたいという人にはこちらの参考書がおすすめです。
テキストは、授業で先生がしゃべるような調子になっています。
テキスト量は多めですが、その分説明は丁寧です。時々生徒役の(クマ?の)キャラクターが吹き出しでツッコミや疑問点を代弁してくれる点もテキストを読みやすくしてくれるポイントとなっています。
重要語句は赤色になっていて赤シートで隠せます。各章には出題頻度も5段階で評価してくれており、重要なパートがはっきりわかる内容になっています。
本書における過去問の掲載量は『いちばんやさしい~』に比べれば少なく見えます。ただし読者特典として提供されるDEKIDAS-Webというアプリで過去問や予想問題の演習ができます。弱点分析や誤答問題に集中した出題なども可能です。
丁寧な解説、出題頻度、用語のまとめ、過去問用のアプリ、と手堅い構成になっている参考書と言えるでしょう。
ただしイラストは比較的少なめなので、どちらかと言えば自分でテキストを読むのに慣れている人向けかもしれません。
かやのき先生のITパスポート教室
インプットとアウトプットを効率的に回していきたいという人、テキストを読むよりイメージで覚えたい派の人におすすめの参考書です。
この参考書の特徴は、内容と頻出ポイントをまとめ、数ページ内で見通せるようにした構成になっている点です。
参考書というよりも授業の内容をまとめたノートを読んでいるような感覚で読めます。文字はやや小さめですが、イラストと余白が結構あるため読みやすく感じるでしょう。
各パートの後には確認のための過去問がついています。パートは結構細かく分かれているので、インプット→アウトプット(過去問での確認)がリズムよく進みます。本書で演習できる過去問だけでも結構な量をこなせるはずです。
同作者は基本情報技術者試験の参考書も出版しています。かやのき式が良かったという人は、基本情報技術者試験へのレベルアップの際には、こちらの参考書もチェックしてみてください。
ただし、簡略化されている分もっと説明が欲しいとと思う人もいるかもしれません。丁寧な解説が欲しいという人は、前述の『いちばんやさしい~』や『ITパスポート合格教本』、後述の『キタミ式ITパスポート』と併用しても良いかもしれません。
キタミ式ITパスポート
参考書の堅苦しい雰囲気が苦手、超丁寧な説明が欲しい、という人におすすめなのがイラスト満載の参考書『キタミ式ITパスポート』です。
イラストで学ぶキタミ式ITパスポートは、「イラストでの説明」に加え、文章での説明も非常に丁寧です。説明文もしゃべり言葉で堅苦しくなく、「楽しく勉強できること」をコンセプトに書かれたんだなーというのが実感できます。
なおその分、けっこうな厚みがあります。さらにフォントサイズも小さく、ぎっしりとした参考書に見えます。
イラスト目当てで買って情報量の多さにしり込みしてしまう人もいるかもしれませんが、内容は本当に丁寧なので、1,2章目を通して自分に合うかどうかを考えてみると良いのではないでしょうか(ある意味で『ITパスポート最速合格術』の対極にあるような参考書だと思います)。
補足範囲が広いので、他の参考書ではいまいち分かりにくかった部分や過去問を解いていて分からなかったけれどほかの参考書には書いていない部分を補足するのに使うのも悪くないでしょう。
基本情報技術者試験や応用技術者試験のために、できるだけ広範囲の知識を身に付けておきたい人にもおすすめです。なお同作者の基本情報技術者試験向け参考書も出版されています。
まとめ
どうせ受験するならITパスポート試験を通してデジタルに詳しくなりたいですよね。
ただITパスポートに合格する、と言うだけでなく、初心者が「読んで知識が身に付いた!」と感じる参考書を選んでほしいと思います。
参考書の合う、合わないは人によって変わるので、自分に合った一冊を見つけてみてください。
おまけ
ITパスポート試験では絶対に役立つのが以下のサイト、「過去問道場」です。有料メンバーシップ盛りますが、無料でもかなり使えます。気に入ったという人は、運営者への感謝を込めて有料ユーザーへの登録も考えてみてはどうでしょうか。
www.itpassportsiken.com