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『ヒトラーユーゲントの若者たち』を読んで…。「人が本当に死ぬのは人に忘れられたときだ」

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『あのころはフリードリッヒがいた』『アドルフに告ぐ』などナチス関連の書籍を時々読むのですが、今回はこちらの本を図書館で偶然見つけました。

 

 

ヒトラーユーゲントの若者たち 愛国心の名のもとに』S.C.バートレッティ著 林田康一訳

児童書の棚にあったので、一応児童書?アメリカの元教師が書いた、ヒトラーをあがめる少年部隊「ヒトラーユーゲント」のお話です。

読んだ感想を少し記録しておこうと思います。

子どもの洗脳

著者はヒトラー政権下で生きた人ではなく、様々な調査によってこの本を書いていますので、『あのころはフリードリヒがいた』のような生々しさは極力抑えられているように見えます。残忍な描写はありますが、客観的な立場で書かれているので途中で読むのが耐えられないということはなかったです。(『フリードリヒ』のリヒター三部作は、読んだ後の虚無感がひどかった。)

されど、ヒトラーが子どもたちの気持ちにいかに取り入っていったのか、という部分には恐怖心を覚えざるを得ませんでした。

 

経済危機の中の、大人への不信感を利用され、「未来は君たちが作るんだ」と呼びかけられて高揚感を得る子ども達。キャンプやスポーツ、ゲーム、カッコいい制服、武器の数々に魅了され、仲間意識を強めるうちにいつの間にかヒトラーの信望者に仕立て上げられていく。

 

ヒトラーの恐ろしいところは、このように人の心に付け込むのが無茶苦茶上手いところです。仮に彼がこの世にいたら、SNSを駆使して大きな人気を得ていたでしょう。

 

普通の人たちが、占領地の家族を追い出し、ユダヤ人の虐待に自主的に参加するというおぞましい真実。「流される」ことは、実に恐ろしい。愛国心、国のためというのは魔法の言葉でそのためにはすべてが許される。

ナチスに動いた若者

ただ、この本では反ヒトラー勢力として動いた若い学生の活躍も良く書かれています。自分の頭で考え、大人の指示ではなく自らの意思でナチスに抵抗した彼らは、本当にすごい。また、軍が巨大な権力を持つ状況にありながら、「高齢者の安楽死」には多数の市民がこぞって反対し、ヒトラーの意思を折ったという事実にも感嘆しました。

ドイツ兵は捕虜になれる

さて、ドイツはロシアの寒さに圧倒され、だんだん戦況が不利になっていきます。最終的に連合国軍に負けるドイツですが、ヒトラーユーゲントは最後までヒトラーを信じて戦います。しかし、戦車の大群が迫った時、彼らは降伏します。

 

SS装甲師団長、クラースは部下の若い兵士に最後の挨拶をします。

捕虜になっても、またドイツ再建の際にも、同志としての友情の精神を持ち続けることによって、亡くなった同志たちの記憶を大切にしつづけてほしいと頼んだ。

ヒトラーユーゲントの若者たち 愛国心の名のもとに』S.C.バートレッティ著 林田康一訳 P194より

 

 

あれほど愛国心に固まったドイツ人でも、捕虜になることを受け入れているんですね。日本兵は自決のイメージが強いので、捕虜になるという結末が逆に印象的でした。

ヒトラーはいつ死ぬのか

本書とはあまり関係ないのですが、ヒトラー関連の本を調べると山ほど出版されているのが分かります。

「人が死ぬのは人に忘れられたときだ」という考え方があります。

 

漫画「ワンピース」Dr.ヒルルクの名言が有名ですが、元ネタがあるとかも聞きます。他の漫画でも時々登場しますね。

 

私は時々思うのですが、もしこの考え方で行くと悪名の高い人間ほど、長生きなのではないでしょうか。

 

前項よりは悪行の方が忘れられないもの。特に、ヒトラーは歴史上最大級の虐殺を行った人物です。フィクション、ノンフィクションに関わらず、様々な作品が作られています。この先長い間、人類は彼の名を忘れることはないでしょう。

 

忘れられたときが本当の死なら、ヒトラーはいつ死ぬのでしょうか。

 

 

※ちなみに、Dr.ヒルルクのあのシーンにはとても感動しましたし、「ドラム王国篇」はワンピースの中でも大好きな話です!「ワンピース」を批判しているわけではありません。

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