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Xシリーズ完結!「MaXXXine マキシーン」感想

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お盆休暇を利用して、Xシリーズ完結編である「MaXXXine マキシーン」を鑑賞してきました。この手の映画を積極的に掛けてくれている地元映画館に感謝!です。

 

今回は、Xシリーズを通しての感想を書きたいと思いますので、第1作の「X エックス」、第2作の「Pearl パール」を通して、全編ネタバレありになっていますこと、ご容赦ください。

 

 

Pearl パール

Pearl パール

  • ミア・ゴス
Amazon

 

happinet-phantom.com

三部作としての「MaXXXine マキシーン」

まず、私がこのシリーズを見た順番は、「Pearl パール」→「X エックス」→「MaXXXine マキシーン」です。映画の紹介サイトでたまたま「Pearl パール」を見かけ、ポスターとCMの不穏さに惹かれました。映画館では、号泣告白シーン→スロー追いかけごっこからの斧で…→笑顔と涙のラストシーンに度肝を抜かれ、とてもお気に入りのホラー映画になりました。AmazonPrimeでも再視聴したときも、やっぱり見入ってしまいました。

 

その後、この作品が三部作の第二部にあたることが分かり、じゃあ第一部も…としてみた「X エックス」。「Pearl パール」の印象が強かったので、ちょっとがっかりしたのを覚えています。

 

「殺人鬼が老夫婦ということ」以外は、エログロが強すぎて、フツーのB級ホラー的な感想を持ちました。ただ、「Pearl パール」ではラストにしか出てこなかったハワード(パールの夫)が、行くところまで行ってパールに添い遂げてくれたことが分かり、なんとなくしんみりしてしまいました。「Pearl パール」では結構パールの境遇に同情してしまったところがあったので、世間から見たら異常な夫婦ではありますが、夫婦愛はあったのかなと。パールは「自分の本当の姿をだれも受け入れてくれない」という葛藤があったとは思いますが、ハワードは受け入れてくれたんだろうなと思わされる彼のラストでしたね。

 

その続きとしての「MaXXXine マキシーン」です。この作品を見てからだと、「X エックス」の評価がちょっと変わりました。いろいろなシーンに意味があったように(つながっているように)見えて、「もう一度みたいな」と思わせられました。

 

「MaXXXine マキシーン」もこれ単体だと、B級ホラー映画へのオマージュという「X エックス」とあまり変わらない評価になってしまいそうなんですが、間に「Pearl パール」が入ることで、自分の評価は結構高くなっています。

 

Xシリーズの女性像

パールとマキシーンの大きな差として見られたのが、他者(特に男性)への依存性だったのも興味深かったです。

 

パールは結婚していますが、結婚の動機はハワードにほれ込んだというよりは息の詰まる農場からの脱出を試みたからです。

しかし、ハワードは金持ちの生活から農場の素朴な生活へと「脱出」してきたのです。二人の向いている方向は正反対だったので、パールは不満をくすぶらせています。そのため、ハワードの出征後、怪しげな映画技師と密通してしまいます。このとき、パールを魅了したのも、農場から技師が自分を連れ出してくれるのではないかという希望でした。パールは基本的に、「自分をみじめな生活から脱出させてくれる王子様」待ちの性格をしているんですね。

 

一方のマキシーンには、パートナーを待っている悠長さはありません。二人とも親は抑圧的ですが、マキシーンの方は家出して、ポルノ女優をやりながら生活をしているので、(時代の差はあるといっても)かなり自立心がある女性として書かれています。文字通り「夢のためなら何でもやる」タイプ。

 

「MaXXXine マキシーン」では33歳になっていますが、結婚どころか、恋人もいない様子です。親友のレンタルビデオ屋・レオンとうまくいっているのは「下心がないから」。友達から富豪が集まるヒルズのパーティーに誘われても「仕事だから」とそっけない。過去の件で追い詰められたときはエージェントの男性には頼るものの、それはそれはかなりドライでビジネスライクな頼り方(端的に言えば殺人の手助け)。

 

恋愛依存体質とは程遠いところにいるキャラクターとして書かれています。

 

こんな「MaXXXine マキシーン」が夜付けてくる変態、ストーカーまがいの探偵、そしてパパをサクサク片づけていく様子は、不謹慎ながら一種の爽快感が…。

 

またハリウッドでのし上がろうとする女性監督、エリザベスや、女性刑事ウィリアムズといった「ビジネスウーマン」の姿が目立った本作でもあります。このあたりも、家庭に抑圧されていたパールやパールの母親の姿との対比があって、面白く見られました。

スターになるの

「X エックス」のキャッチコピーは、「死ぬほど快感。」でしたが、「Pearl パール」と「MaXXXine マキシーン」のキャッチコピーは「スターになるの」で共通でした。

 

「MaXXXine マキシーン」では、同じ「スターになりたい」という気持ちを持ちながら老いていった(そしてマキシーンに殺された)パールがフラッシュバックするシーンが何回も登場します。パールはマキシーンと自分を同一化し、同じ末路をたどるという「呪い」をかけています。

ここで、パールとマキシーンをミア・ゴスが同時に演じるという意味が非常に鮮明になってきます。「X エックス」単体で見ると、単にヒロインと犯人、若い女性と老婆を同じ女優が演じているという、演出上のサプライズに終わっている感じがあります。しかし、マキシーンとパールは、ほとんど合わせ鏡のような存在でありながら、最終的にマキシーンはパールを乗り越えます。自らの力で主演を勝ち取り、ハリウッドで居場所を確立します。

 

マキシーンにもパールにあった凶暴性は潜んでいます。しかし、パールの凶暴性は彼女の夢の障害であったのに対して、マキシーンはこれを自分を守る武器として巧みに使います。この二人の女性の対比が、Xシリーズの中でうまくつながっているのがすごくよくできているなあという感じでした。

 

「もう私で決まりだから」とオーディション待ちのライバルに言い放つマキシーンを見ると、パールが泣き崩れたオーディションシーンを思い出してしまいますね。「どんなブロンドにも負けない」というセリフにも、ニヤッとさせられます。

 

パールを乗り越えるマキシーン、前作を乗り越える完結作って感じでした。

 

※前作で主人公を上げて次作で現実にたたき落とした「ジョーカー」と「ジョーカー2」とは真逆の視聴感だったなという気持ちにもなりました。

ラストの演出

Xシリーズは、ラストの演出がどれも気合が入っていて良かったです。「X エックス」では、警官のメタ発言、「Pearl パール」ではミア・ゴスの「意図せず撮れちゃった」と言われている狂気の笑顔、そして、「MaXXXine マキシーン」では、エンドロールの後に訪れた「巻き戻して返して」というメッセージ(エンドロール途中で帰っちゃった人はもったいない!)。このメッセージ、レンタルビデオをよく見た世代としてはかなり懐かしく、それとともに、この作品自体がレンタルビデオとして作られているんだよ、という遊び心が感じられます。これもメタ的な表現で、「X エックス」での警官の発言とつながっているように感じました。

 

まとめ

 

Xシリーズというのは、タイ・ウェスト監督の「古き良き(VHS時代の)ホラー映画オマージュ愛」がスゴイあふれている作品なんだなあとしみじみ感じます。「13日の金曜日」や「サイコ」「エクソシスト」など、古典ホラー、スリラー映画が好きという人なら、おすすめできるシリーズです。

 



一方で、ホラーっぽくないホラー映画でもある部分がちらほら。「X エックス」はがっつりホラーですが、「Pearl パール」はスリラーっぽいですし、田舎で両親の介護に追われながら夢をあきらめきれない女性の悲しい物語にも見えます。オズの魔法使いチックなミュージカル描写も特徴的でした。「MaXXXine マキシーン」に至っては、ハリウッドで成り上がるサクセスストーリーにも見えますので、ホラーはあんまり…という初心者でも楽しめる要素は多いと思っています。

 

おまけ

ピューリタン」という劇中ホラー作品、結構面白そう。元ネタになる映画がないかついつい検索してしまいましたが、見つからず。宗教ホラーらしいので、「エクソシスト」あたりに近いのでしょうか。

 

 

Pearl パール

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