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こんばんは。
佛教大学通信教育部で高校数学教員免許を取得したときの話をします。
このとき、一番の難関だった科目は間違いなく幾何学でした。
幾何学というと、図形の勉強をすればいいと思いますか?
佛大の幾何ではほとんど一般的に言う図形は出てきません。
もっと広い意味での空間というものについて勉強します。
最初に論理や集合について学びます。
ド・モルガンの定理など高校数学で覚えがある方もいるのではないでしょうか。
あの集合論を空間にも適用してるかんじです。
正直、普通に高校数学で勉強する微積とか、三角関数とかとはかけ離れた世界です。空間の無限性のようなものが味わえる、ある意味哲学的な内容なのですが、とにかく記号が沢山出てきて意味不明です。レポートはパソコンで書きたい派の私でもあのややこしい記号を入力することができず、汚い字でごちゃごちゃのレポートを書き上げる羽目になりました。
ともかく教科書を読んだだけでは、どんな学問かもさっぱりわからない、当然レポートもかけないのでまずよりかみ砕いた解説をしている参考書が必須でした。
そこで見つけたのがこちらの本です。
「なっとくする集合・位相」瀬山士郎
内容は佛大の幾何の教科書とかなりオーバーラップしていますが、教科書の3倍はある厚さのこの本、内容が丁寧で読者の興味を引き付けてくれる書き方をしています。作者の瀬山さんは教育学部の教授だそうで、教え方がうまいのでしょうか。高校数学の知識があれば、何とかついていける内容です。時々入る寓話?「ホテル・カントール」のお話も面白い。
次がこちら。30講シリーズから「集合への30講」と「位相への30講」です。「なっとくする集合・位相」にくらべると少し難しいのですが、直感的な例えをしている箇所では「そういうふうに考えるとわかりやすいな」と納得できるところが多々ありました。この本を読んでおいたことで、スクーリングの試験にも役に立ちました。30年近く前に出版されているという長く読み継がれてきた本です。章末問題を解いておくと実力アップにつながります。
「集合と位相 そのまま使える答えの書き方」
タイトルがまるで「解答を丸写しにしてね!」みたいな内容なので、びっくりしましたが実はとても分かりやすい集合と位相の解説本。最初に問題で使う概念がざっとまとめあがっていて、問題・解答・解説が提示されます。最初の概念をどのように使って解答を導くのかがよくわかる良書です。コンセプトは学生がつまずきやすいところをいかに解説するか。そのため、勉強していて?となるところをちゃんと説明してくれる「かゆいところにてがとどく」本です。数学のレポートというものは普通の文によるレポートとは違い、どのように書いてよいのか(とくに理数科外からの学習者は)戸惑うのですが、この本を見ると解答の書き方の基礎がばっちりわかるので大学数学の初学者には大変お勧めしたい。姉妹版に
「微積分と集合 そのまま使える答えの書き方」
「微分方程式 そのまま使える答えの書き方」があります。
実践的に問題をこなしたいときはこちらの本がおすすめです。
「すぐわかる代数」
このブログでたびたび取り上げている石村園子さんの本です。幾何というより集合論の演習に最適です。とても分かりやすく書かれているので、とっかかりの本としてとてもよいです。ただ後半の部分は佛大の幾何学には不要。「群」は範囲じゃないので。でも興味を持ったら勉強してみても良いと思います。
「はじめよう 位相空間」には例題が多く載っており、解説が詳しいです。「解いてみよう 位相空間」の方は問題集ですが、レポートや単位認定試験の問題に似たものが出ています。チェックしておくと、問題が解きやすくなります。
問題演習系でもう一冊。
こちらも演習問題が豊富です。解説はあっさり目ですが、やはりレポートや単位認定試験の問題を解く参考になるでしょう。
基本的に私がやった勉強は
「なっとくする集合・位相」「30講シリーズ」で、「そもそもどういう勉強をするのか」といった概念をつかみ、
「集合と位相 そのまま使える答えの書き方」で問題演習をし、
他の演習問題系参考書をヒントにレポートや単位認定試験の解答を作るというパターンでした。
どうしてもレポートや単位認定試験の問題がわからないときは、インターネットで問題を検索すると同じようにレポートに困っている人からの投書とそれに対する回答が見れたこともあります。
もちろんこの回答を丸写しにしたら勉強にならないので、参考書で周辺知識を調べて自分の言葉で書き直す必要はありました。
佛大の幾何学攻略のためには、教科書以外にたくさんの本が必要でしたが、おかげで全くの宇宙語に見えた内容が、おぼろげながら見えてきた喜びを味わうことができました。
この記録が誰かの役に立てばいいなと思います。