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最近、楳図かずおの作品が気になっています。
きっかけは、amazonプライムビデオで見た洋画が「楳図かずおの『洗礼』のパクリでは?」と言われていたこと。楳図かずおの絵って、子どものころは非常にトラウマになるほど気持ち悪かったんですが…
いい年になり、ホラー好きに育ちまして。伊藤順二とかも読むようになって、「いまならいけるな」と読んでみました。
超代表作の『漂流教室』は置いておいて、今のところ読んだのは「洗礼」「おろち」(途中まで)です。
読んでびっくりしたのは、「心霊ホラーじゃなくて、心理ホラーじゃん!」ということ。
あの絵ですから、てっきりもっと妖怪・幽霊系なのか?と思っていたのですが、すくなくとも「洗礼」「おろち」の2作はサイコホラーっぽい、なんというか「人間が怖い」系ですね。
それも、非常に人間の、特に女性の業がたくみに描かれていることにとても驚いています。
「洗礼」は美しい女優が、自らの老いを恐れ、自分が体を乗っ取るために女の子を産むというストーリーです。美しく育った女の子はある日、「自分は母と脳みそを交換するために作られた」ことを知ります。逃げようとするも、つかまり、無残にも行われる手術。娘の体に乗り移った女優は、自分の幸せ(娘の担任との結婚)を叶えるため、邪魔者を次々と消して行こうとする…というホラー。脳みそ交換手術という視覚的なグロテスクさとはべつに、私が最も恐怖を感じたのは、娘に乗り移った母親が語る、身の上話です。美しさのみを頼りに生きてきた女が、自分の母親の老いに、卒倒するまでにショックを受ける…自分がいつか醜くなるという恐怖との葛藤…若く美しい女性ならだれもが感じるリアルな恐れではないでしょうか。この「洗礼」、実はとんでもないオチがついているので、気になる人はぜひ、ご一読を。
「おろち」は、不思議な力を持つ美少女おろちがストーリーテラーとなり、様々な「人間の恐怖」を体感するというオムニバスストーリー。この中でも同じく、老いと美貌の消失をテーマにした「姉妹」という話が出てきます。美しい2人の姉妹の話ですが、姉妹の家の人間は18を境に徐々に醜くなり、最後は人とは思えぬほどの容貌になる運命なのです。2人は発作が起きるほど18歳になる日を恐れています。
しかし、姉妹の母は死に際にある遺言を妹に残しました。妹がおろちと姉の婚約者に伝えた遺言の内容は「妹はこの家の人間ではない」というもの。つまり、18才になって醜くなるのは姉だけ、だったのです。それを聞いた姉は狂乱し、妹にひどい仕打ちを加えます。しかし、妹はそんな姉にとても優しく接し、それを見たおろちは妹の心持に感心するのですが…。実はこの話にもどんでんがえしがあります。それもまた、女性の美しさに対する執着と、女性同士の激しい嫉妬の心を鮮やかに表現しています。
なんか、この2作品を見ていると、「楳図かずお先生って、なんでこんなに女性心理が分かるの?」と思ってしまう。
あの、赤いしましまを着た奇天烈な人が、なんで…。
最近ラジオを聴いていたら、NHKのみんなのうたまで歌っている?!
ほんと何者なんでしょうか。