ごろごろ独学勉強部屋

資格取得や独学、通信制大学についての記事を書いています。

MENU

close
×

「ファイヤースターター」と「シャイニング」と「キャリー」

本ブログ内に貼られた商品紹介リンクはアフィリエイトリンク(広告リンク)となっております。

※この記事にはプロモーション(Amazonアソシエイト)が含まれています。

★ファイヤースターターは絶版状態なので、Amazonマーケットプレイス(中古品市場)で買ってください。

★記事の中に若干のネタバレがあります。

 

ドクター・スリープのCMに感化され、もう一度スティーブン・キングを読み直し、みごとに再ハマりしました。

シャイニングは最初の個人的ブームだった高校生の頃に読まなくてよかったと思いました。やはり30過ぎて、大人目線で読んだ方が確実に面白い。

「ファイヤースターター」と「シャイニング」と「キャリー」、この3作どれも子どもの超能力者が出てきます。「ファイヤースターター」では炎を操るパイロキネシストの少女チャーリー、「シャイニング」ではテレパシーや予知能力がある少年ダニー、そしてキングのデビュー作「キャリー」ではすさまじい念動力をもったテレキネシストの少女キャリー。

 

似ているようで、彼らの内面は全く違うのです(そしてその結末も)が、その内面に影響しているのがやはり親の存在かなと思いました。

主人公が最も抑圧され、最悪の悲劇で終わる「キャリー」は母子家庭で育っています。そして母親は狂信的であり、キャリーを理解するどころか存在を受け入れていない状態です。キャリーは学校でもいじめられ居場所がありません。キャリーの敵は家庭であり、学校です。非常に卑近な題材ながら、3作の中で最も陰惨で、暗い結末におわります。

 

「シャイニング」のダニーは両親ともにそろっていますが、どちらも精神的にかなり不安定な状態です。父親はアルコール依存症の傾向があり、一度はダニーの腕を折るという虐待を行います。その行為を非常に悔いてはいるものの、仕事を無くし、夢であった小説家の道も立たれそうになっており、親という立場の上で危ういバランスを保っています。母親は夫との関係に不安を抱きながら、ずるずると夫婦関係を続けています。ダニーの祖父・祖母もかなり毒親的な性質があり、その不安定さが家族に影を落としています。

ただし、シャイニングにおける親子は、心理的な不安定さを常に抱えているものの、お互いへの愛はちゃんと存在し、親子関係を保とう、夫婦関係を保とうという努力をしています。ダニーの中には親に愛されている、そして親を愛しているという確信があり、それが、最終的にホテルに巣くう悪意に打ち勝つことにつながるのでしょう。ダニーの力はキャリーやチャーリーに比べれば非力に見えますが、父・母の愛情と、ハローランとの友情でその力を補っているように感じます。

 

「ファイヤースターター」のチャーリーは、3人の中でも最も破壊力が高いと思われます。巨大なエネルギーを放出しても、ほとんど内部エネルギーが消費されないということは無尽蔵の力を持っているということですよね。チャーリーの敵は学校とか、田舎のホテルの悪霊とかではなく、国家そのものなのですが、本気を出したチャーリーの前にはほぼ敵ではありません。国家の秘密機関丸ごとをたった一人で壊滅させ、しかもその反動がない。殺した諜報員たちの数は相当の多数にのぼるはず。しかし、チャーリーの中には確固たる「自分への信頼」があります。大量破壊のあと、「魔女」とののしられても「私が悪いんじゃない!」と言い切れるだけの自己愛は、危険な存在である娘を最後まで守り通した母と父(母はすでに死んでいますが)が育ててくれたものなのだろうと思います。特に超能力を駆使し、自分の命を顧みず最後までチャーリーを守る父の姿がチャーリーに「自分は生きていても良い」という自己愛を刻み込んだだのでしょう。チャーリーをかばってくれる農場主夫婦の姿も美しいです。本来なら自暴自棄になって自殺してもおかしくない境遇ですが、チャーリーは最後まで愛らしい少女として、国家と戦う姿勢を見せます。チャーリーは能力の面だけでなく、精神面でも3人の中で最強だと思います。

 

何が言いたいかというと、これだけ多様な親子の姿をリアルに書けるキングはすごいですよね!ということです。

 

 

 

 

 

にほんブログ村 資格ブログへ
にほんブログ村

↑お気に召したらどうぞクリックをお願いします。